無許可開設の札幌の動物園、「道順分かりづらい」と国道に違法看板…撤去指導に応じず(読売新聞)
興味深い記事が出ていました。
札幌市で無許可開設されている動物園が、国道沿いの5箇所に誘導看板を出しているとのこと。
その道路沿いの国有地に誘導看板を勝手に設置しているということですね。
この記事を、屋外広告士でもあります看板屋さんが解説いたします。
国道は「国有財産」にあたり、道路沿いの国有地に営利目的の看板を設置することは道路法で禁じられている。園は2005年夏に開業し、道開発局は06年に看板の違法設置を確認していた。違法性を指摘した上で撤去を求めて行政指導を繰り返してきたが、会社側は応じる姿勢を見せなかったという。
これは道路法からのアプローチになります。
国有地に看板を設置していることを問題視しているということですね。
読売新聞も国土交通省北海道開発局に取材を行っています。
看板屋さん目線でこの記事を見ていますと、読売新聞が札幌市当局に取材を行っていないのが惜しいですね。
札幌市の屋外広告物担当部署は札幌市建設局総務部道路管理課になるそうなのですが
こういう誘導サインは「一般広告物」と言いまして、熊本県で言うと禁止地域では掲出禁止、許可地域でも「許可申請を行ったうえで許可」されるものになります。
一般広告物を掲示するためには掲示する場所(土地)を借りることが多く、申請の際には「設置する土地が自分の所有でない場合は、貸主の同意を得ていることを証する」必要があります。
この札幌の動物園の場合は、国有地に勝手に設置しているとのことなので、そこは証明できないはずです。おそらく札幌市当局の許可も得ずに、この看板を掲出していると思われます。
となりますと、
(1) 許可を受けずに広告物を掲出した場合。
(2) 禁止区域又は禁止物件に広告物を掲出した場合。
(3) 移転、改修、撤去などの措置命令に従わなかった場合。
ということで、札幌市屋外広告物条例を根拠に、設置者に行政罰を課すことができるはずです。
(札幌市のこの場合は50万円以下の罰金)
看板撤去となると屋外広告物条例に基づく行政代執行も可能なケースがありますが、戒告して一定期間をおいたのち、設置者に撤去の意思が見られない場合。となるので、少しハードルが高くなります。
こちらは道路法による、簡易代執行を選択したケースになります。
不法に占用していた広告付き避難場所誘導看板の簡易代執行による撤去について(近畿地方整備局 和歌山河川国道事務所)
札幌市は、居酒屋の看板部品の落下で、直撃を受けた被害者が重症になられた事故があり、屋外広告物安全点検の義務化のきっかけとなったことでも知られます。
真面目に屋外広告物の設置、管理に努めている業者さんや施主さんがほとんどだと思いますし、そのように条例に従っている方々が「馬鹿らしいなあ」と思うようなことには、なってほしくないですね。
代執行の要件については、一般に看板屋さんをやっていても、ほとんど接する機会のないところです。
屋外広告士の学習をしたことでついた知識ですので、このへんは資格取って良かったなあと思います。
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